研究開発

2018年12月4日

1.3次元画像計測

 ネプラス株式会社の3次元画像計測技術の開発は1996年からスタートしています。1995年の阪神淡路大震災の後、政府は神戸地区に耐震研究の中心施設を建設する計画をスタートさせました。現在の防災科学技術研究所・兵庫耐震工学センター(通称E-Defense)です。その3次元変位計測システムの開発が国のプロジェクトとしてスタートし、多くの研究所と大学の研究者が参画し開発が進められました。その成果が、ネプラス株式会社の3次元画像計測技術です。世界最大の振動実験施設E-defenseで採用されている世界最高性能の3次元画像計測システムです。現在、1MEGA-Pixelの高速度カメラ(1MEGA-Pixel 500frame/sec)8台と、5MEGA-Pixelの高速度カメラ(5MEGA-Pixel 60frame/sec)9台を保有しており、3次元画像計測の計測依頼に対応しております。

3D Measurement 2
3D Measurement 3
Target markers using on 3D Measurement

2.2次元画像変位計測

 高速度カメラを用いた動的画像計測に加えて、市販の高精細カメラを用いた静的加力実験のための2次元画像変位計測の開発を2009年ごろから進めてきました。追跡ターゲットは紙製のテクスチャーマーカーです。マーカーの設置はシールを貼る作業なので、労力がかからず、200点以上の計測が容易にできます。3次元計測も可能ですが、2次元計測ではカメラ1台で計測が可能で、キャリブレーションも計測平面上の4点以上の2次元座標(4点間の距離と角度でもよい)を測るだけでよく、3次元計測のようなトータルステーションを使ったキャリブレーションを必要としません。建材試験センター、京都大学、大分大学、建築研究所や企業の研究所などで採用いただき、計測を実施してきました。高速度カメラを使った動的振動実験の計測に較べ、準備が容易で価格も低く抑えることができます。

静的負荷試験のひずみ測定

3.高精度MEMS加速度計

 2008年より、耐震実験(振動台実験)の3次元画像計測に加えて、耐震実験の加速度計測とひずみ計測も実施するようになりました。主に大学の振動実験で行ってきました。当初はサーボ加速度計を用いて計測していましたが、配線や設置に労力がかかる上、高価な加速度計のため、チャンネル数を増やすことが困難でした。そこで、MEMS加速度センサーを用いた振動実験の加速度計測を2010年からはじめ、2014年には国際実験力学会議で報告しています。2015年にアナログセンサーを積んだモニタリング加速度計を試作し、振動実験などに試用しています。2016年12月にはデジタルセンサーを搭載したモニタリング加速度計を完成させ、同じ12月末にネパールの寺院(三重塔)のモニタリングを開始しました。現在、市販しているモニタリング加速度計とハード的にはほとんど同じものです。その後、2017年8月からネパールのニャタポラ寺院の五重塔、9月にはギリシャのパルテノン宮殿のモニタリングを開始しました。この間に、日本でも福島や東京の文化財建造物に加速度計を設置し、研究用として加速度のモニタリングを開始しています。
 2018年8月に、さらに改良を施したモニタリング用高精度MEMS加速度計の販売を開始しました。複数台の同期計測も可能で、メモリデータの修正機能、トリガー前のデータ保存機能など使いやすくしています。価格も1台35,000円(税別)と購入しやすい価格設定にしています。

accelerometer Kenshinkun
Capturing acceleration

4.教育用3次元ソリッドモデラ―

 ネプラス株式会社の設立時に事業の柱にしようと考えていたソフトウエアです。代表の新津が2000年度の第1回未踏ソフトウエア創造事業(経済産業省)に採択され、その後、新津がその開発で「スーパークリエーター」の称号を得たソフトウエアです。このソフトウエアは高度なモデリングコードと幾何学計算を必要とするもので、3次元画像計測でもその幾何学計算が生かされています。現在は、販売を中止し、フリーソフトとしています。サポートはできませんが、ダウンロードして使ってみてください。

Download

Primitive objects
Mathematical 3d objects

5.裸眼立体ディスプレイ

 2002年11月に、ドイツのイエナ―市にある4Dビジョン社と販売契約と開発契約を結びはじめたのが、裸眼立体ディスプレイの販売と開発です。2003年から主に裸眼立体ディスプレイの輸入販売を行ってきました。その後、4Dビジョン社の買収先である米国のX3Dテクノロジー社、さらにその親会社である米国ニューサイト社と契約更新をして販売を行ってきましたが、ニューサイト社の倒産を境に販売を縮小し、現在は中止しています。2004年に愛地球博の日本政府館用大型裸眼立体ディスプレイを受注し、2005年3月の愛地球博の開始から供用しました。この裸眼立体ディスプレイはX3Dテクノロジー社と共同で開発、運用したものです。12台の投影型ディスプレイを組んでその前に立体化フィルターを設置したもので、当時世界最大の裸眼立体ディスプレイでした。多眼視タイプでは今でも世界最大のディスプレイとしてギネスに登録されています。現在、ネプラス株式会社としては、裸眼立体表示用のフィルタの特許を使ったコンサルタント業務のみを行っています。裸眼立体ディスプレイを開発したい方からの相談や、特許を利用したフィルタの設計と供与を行っています。

Posted by netplus